子供の頃から洋服を作る事が好きで、会社員時代はクリスマスパーティーなどの集まりがある度に洋服を自作して参加していました。
結婚して会社を辞めてからも自分のために洋服を作り続けていましたが、娘が産まれたのを機に娘のためにベビー服も作り始めました。
私と娘は私が作ったお揃いの洋服を着て、いつも外出していました。
ペアルックの洋服を着ている親子が珍しいせいか、知人にどこで買ったのか聞かれたこともありました。
私の創作衣料だと言うと自分にも作って欲しいという要望を頂き、そこで初めて値段を付けて販売し始めました。
私が手がけた洋服で思い出深い作品は、七五三で着用する男の子の洋服です。
洋服を販売し始めて、最初の大きな依頼でした。
七五三といえば一生に一度のイベントです。
その記念となるイベントで着る洋服を帽子から上着、ズボンまでワンセットで任せて頂いたということが自信に繋がりました。
今でも当時の気持ちを忘れずに一着一着大切に縫い続けています。
私は「洋服を作ることが大好き」という想いだけで、40年以上、洋裁という道を歩んできました。
洋裁関連の学校を卒業しているわけではないので、全てが独学です。
だから先生でもありライバルでもあった存在は人ではなくて本。
書籍には素敵な作品ばかり掲載されているので、ページをめくりながら「これより良いものを作ろう」という気持ちで洋服を作っていました。
おかげさまでアトリエには今でも私の基礎となった本がたくさん残っています。
ただ私は人の真似が嫌いな性格なので、本に書いてあることをそのまま鵜呑みにするわけではありません。
本に掲載されているデザインや技術を自分の頭の中に入れて、自分の感性や流行をブレンドした上で洋服を創り出します。
もちろん最初から自由自在に洋服を作れたわけではありません。
失敗という経験を重ねることで、次第に自分の閃きを形にすることができるようになりました。
結果として、私にしか作れない作品を世に送り出すようになれたのです。
私は仕事場に居ることが一番好きで、一日のほとんどの時間をアトリエで過ごしています。
アトリエでは洋服の縫製をおこなうことは勿論のこと、整理整頓にも時間をかけています。
仕事場が綺麗になっていないと良い仕事ができないですし、散らかった仕事場で作った洋服は不思議と満足度が低くなります。
大好きな場所で大好きな洋服を作っているからこそ、お客様に支持してもらえたのだと信じています。
私の一番の幸せは、自分の作った洋服を着ていただいたお客様に喜んでもらえることです。
私の作った洋服を着てくれたお客様が輝くような洋服をこれからも数多く仕上げていきたいですし、求めている人の手元に届いて欲しいと願っています。
婦人服、創作衣料製造販売「アトリエ知恵子」代表。
幼いころより独学で縫製を学び、オリジナリティの高い創作衣料を作成。
赤色を主とした独特の色使いや商品の丈夫さを特徴とし、根強いファンが多い。
制作した衣料は工房に併設されたスペースにて展示及び販売もおこなっている。