中学を卒業してからすぐに実家の宮城から出て、板橋の家具職人のところで修行をはじめました。
5年間住み込みで、6年目からアパートを借りて計22年間家具を作り続けました。
また、手の感覚だけでなく知識も必要だと思い、通信教育でデザインの勉強もしていました。
確かに忙しい毎日でしたが、物作りは好きだったので特に苦には感じませんでしたし、
いずれは独立したいと考えていたのですべての経験が自分の身になっていました。
その後結婚を機に、22年働いた職場から独立して蓮田で工場を構えました。
以来、蓮田の地で20年以上木工職人として家具を製作しています。
蓮田に来て最初のうちは親方から仕事を貰っていましたが、木工所・家具職人の看板を掲げていると近隣の店舗、家具屋、工務店などから声もかかるようになりました。
頂戴した依頼を一つ一つ丁寧に仕上げて信頼を築いていくことにより、次第に仕事が増えていきました。
独立してからも毎日が勉強で、経験の重要性を実感しています。
私は22年前に独立しましたが、実は親方に独立したいと最初に相談を持ちかけた時に、
「他の職人が育っていないのであと5年間待ってくれ」と言われました。
その言葉を受けて、5年後にもう一度「独立したい」と親方に言いました。
私の独立に対しての理解と承認を得られたので、その足で当時住んでいた家を売りに出し独立しました。
「もう少し資金が溜まったら」、「もう少し技術を身に付けたら」と言っていたらおそらく一生独立できなかったでしょう。
足りない要素がすべて埋まることはありません。
自分を信じて、勇気を出して一歩踏み出して、毎日誠実に仕事を続けていくことにより足りないピースは補充されていくのです。
夢は一歩踏み出すことにより現実へと動き出します。確かに独立して商売をするということは、将来の不安との戦いでもあります。
でも自分の経験と能力を信じることで、夢を現実に変えることは充分に可能なのです。
注文家具製造「タカキヨ工芸」代表。
名門ホテルの家具・調度品などを取り扱う工房で20年以上腕を磨いたのちに独立。
以降、20年以上に渡り注文家具や木工製品を材料から一つ一つ手作りで提供している。