私の場合、本当に自分の作りたいと感じた閃きを形にしていく・・・。
ただそれだけで洋服作りを40年以上続けてきました。
特に色使いに関しては多くの人から独創性が出ているとお褒めの言葉を頂きます。
洋服の展示会をしたとき、油絵画家から「配色が素晴らしい」と言われたこともありました。
私の洋服には赤系の布を使う事が多いのですが、この赤という色が私のイメージカラーになっているようです。
洋服はベースとなる布の色で大枠のイメージが定まります。
自宅のアトリエには多彩な色や素材の生地が整理して保存してあります。
私にとって布は絵の具のようなもので、この絵の具を頭の中で混ぜ合わせることで私という個性の詰まった洋服を生み出しているのです。
子供の時から洋服を作ることが好きでした。
誇張表現ではなく、本当に朝から晩まで毎日のように洋服を縫っている日々で、
娘を育てている時も早めに寝かしつけてはミシンを動かしていました。
最初に使っていたミシンは母から貰ったものですが、
余りにも動かし過ぎてモーターから煙が出たことも有りました(笑)。
今のミシンは多機能なので、ボタンひとつで様々な縫い方が可能です。
でも最終的には縫う人の技術と気持ちが大切です。
いくらミシン自体の性能が向上しても、それだけでは立派な洋服はできあがりません。
いくらデザインが素敵でも縫製技術が稚拙ならば長い期間その洋服を楽しむことはできません。
お客様には見えない部分でも真面目に丁寧に縫っていくことが、洋服に対してもお客様に対しても必要な誠意です。
「作り手の魂が服に宿っている」とお客様に言われたこともあります。
これからも長く着用できる仕立ての良い洋服をお客様に提供できるよう、心を込めて縫製していきます。
私の作る洋服は着る人のキャラクターを際立たせる傾向があります。
特に赤色は個性が強い色ですので人の目を惹きつけます。
そのような目立つ洋服を身に付けていると、街中でファッションに興味のある人によく話しかけられるそうです。
お客様から「また洋服について声をかけられたよ!」という報告を頂けることも私の洋服作りのモチベーションにもなっています。
そんな自分を求めてくれるお客様が居るということは感謝の念しかありません。
「知恵子さんの洋服と出会っていなかったら、どんな人生になっていたか」とまで仰ってくれるお客様もいらっしゃいます。
これからもその言葉に恥じないような、お客様自身を輝かせる洋服を作り続けることが私の役割であり希望でもあります。
婦人服、創作衣料製造販売「アトリエ知恵子」代表。
幼いころより独学で縫製を学び、オリジナリティの高い創作衣料を作成。
赤色を主とした独特の色使いや商品の丈夫さを特徴とし、根強いファンが多い。
制作した衣料は工房に併設されたスペースにて展示及び販売もおこなっている。